第96章 阿部蓮太郎はろくでもない人間だ

有岡哲哉の口から出てくる言葉は、どれも有岡里穂が聞きたいものじゃなかった。里穂は眉をわずかに寄せ、さっきまでの上機嫌が一瞬で霧散する。

「有岡里穂、返事しろ!」

受話器の向こうから、また切羽詰まった怒鳴り声。たぶん有岡健太が、哲哉のスマホを奪い取ったのだろう。

「何を話せっていうの。話すことなんてない」

そう言い捨てて、里穂は通話を切ろうとした。

三人から何か情報を引き出せるかも、なんて思った自分が甘かった。

あの人たちの電話なんて、結局は責め立てるだけに決まっている。

「阿部蓮太郎はろくなやつじゃない! 安菜を傷つけたんだ!」

健太が怒りに任せて、矢継ぎ早に吐き出す。

切...

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